2013年02月17日

蟹工船

電子書籍を読んでみよう、その2。
次にチョイスしたのは数年前に流行したこの本。

蟹工船・党生活者 (新潮文庫)
小林 多喜二
4101084017

ちなみに青空文庫でも読めます。

 ▼蟹工船[青空文庫]

キンドルストアにも並んでいたので、
興味本位でD/Lして読んでみた次第。

概要は所謂「強制収容所」的な工船の上で、
過酷な労働を強いられる労働者たちと、
その上で利権を貪る者たちとの戦い、
みたいな感じ、です。

昨今言われる「勝ち組・負け組」の様相で、
搾取する側と、される側の明暗が明確な内容。
これが理由で流行したのかしらん、といった予想。

明確な主人公というのは存在しないのですが、
搾取される側の労働者各々が主役で、
彼らが一致団結して行動に到る、という、
まさに共産主義的な物語になっています。

しかし、この蟹工船って本。
読めば読むほど、IT業界に酷似してて・・・。


例えば登場人物の労働者を酷使し虐待する"監督"という人物。
コイツはデスマーチにはまず居る残念パワハラリーダーです。
サービス残業は当たり前。
気に入らなかったら暴言、暴力。
病気になった人間も平気で労働に狩りだす。
権力(監督はピストルも)を振り回して言うことを聞かせる。
労働者は風呂にすら入れないのに、自分は毎日風呂に入り、
労働者には家畜の餌より酷いものを与え、自分は酒を呑む。

まさに「最低」。

システム屋でのデスマーチにもよく居ますよね。
仕事もしないでパワハラ、セクハラで暴言を吐きまくり、
自分では何も考えず、行動もせず、ただ文句を言い、
「遅れてる!」「大変だ!」と騒ぐだけの馬鹿。
でも、なぜかリーダーだったりする邪魔者。
アレを想像して下さい。

"監督"の言いなりで、法や人権を無視する"船長"も、
デスマーチでよく見かける「腰ぎんちゃく」みたいなヒト。
多少「これはマズイ」と思っても"監督"が「やれ!」と言ったら、
自分は何も見なかったことにして「やってしまう」って感じ。

搾取される側の労働者もIT業界とダブってみえてしまう。

労働者は基本的に企業に属さない「寄せ集め」。
後半になるまではチームワークすら無い。
各々が口々にデスマーチの愚痴を言い、
"監督"の悪口を言い合うだけ、という関係。
そんなトコロも急場のチームにはよく見る光景だったり。
サボるヤツ、逃げようとするヤツ、病気になるヤツ、etc・・・。
まさにデスマーチ。

IT業界で言えば派遣などで集めたチームって感じ。
プロパー社員は"監督"ぐらいで、
"船長"や船を操る船員も外注です。
PMだけが某社の人間で、それ以外の要員が外注で、
さらにPMが何もしないで他に全てやらせるっていう、
日本大手SIerの『丸投げ』を彷彿とさせます(苦笑

後半、チームのリーダー的な人間が選出されるなど、
まさに「デスマーチを終わらせよう」という感じを受けました。
まぁ、本書のほうは「ストライキしよう!」なんですが。

長くなってきたし、そろそろこのヘンでやめておきましょうかw
いや、しかし。
こんなに物語の内容とは完全に別モノな現実を比較し、
共感しながら最後まで読んでしまうとは思いませんでした(苦笑

IT業界のデスマーチは陸だし、一応は法律があるので、
蟹工船のように海上で治外法権と比べたら、よほどマシかも、
と最後に総括を残しておこうと思います。


ラベル:小林多喜二 書評
posted by knockman at 19:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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